【財務分析】セコム・ALSOK【警備業界】

【財務分析】セコム・ALSOK【警備業界】

今回の企業・財務分析では警備業界のセコムとALSOKを取り上げます。

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貸借対照表と損益計算書

セコム


売上高は3,942億円、総資産は9,215億円、総資産回転率は0.57倍です。

ALSOK


売上高は4,435億円、総資産は4,101億円、総資産回転率は1.08倍です。

売上高、総資産ともにセコムのほうが規模は大きいですが、総資産回転率を比較するとALSOKのほうが1倍を超えており、効率的に資産を活用しているように見えます。

またセコム・ALSOKともに警備業界特有の資産と負債が計上されています。
詳細な内容は有価証券報告書の中にも記載されていました。

セコム:現金護送業務用現金及び預金(流動資産),現金護送業務用預り金(流動負債)
ALSOK:警備輸送業務用現金(流動資産)

当然のごとく「使用が制限されている」旨が記載されています。

特にALSOK社に関しては総資産のうち約18%が警備輸送業務用現金として流動資産に計上されていることから、仮にそれを除外すれば総資産回転率はさらに上昇します。(売上高は変わらないと仮定)

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セグメント

従業員の内訳も有価証券報告書には記載されています。そこからセグメントを見てみましょう。

セコム

セグメント情報です。
(余談ですが日商簿記1級の試験で「顧客」「のれん」の語句穴埋め問題が出題されました)


セコムは「警備業務」というイメージが強いと思います(セグメントではセキュリティサービス事業が該当すると思われます)が、いまや様々な業務・サービスを展開しています。

BPO・ICT事業もそのひとつです。

BPOはBusiness Process Outsourcingの略です。
ICTはInformation and Communicaion Technologyの略です。

BPO・ICT事業は連結決算の影響もありますが、売上高の伸びも顕著です。

この事業ではデータセンターサービス、情報セキュリティサービス、大規模災害対策サービスなどが含まれています。

ALSOK

セグメント情報です。

リスクに関する記載には次のような内容がありました。
キャッシュレス化はまさに過渡期であり、現金輸送業務の収益にもダイレクトに影響を与えることがわかります。

また研究開発活動には次の内容が記載されています。
やはりIT技術・製品等の開発はどの業界でも無視できません。

キャッシュ・フロー計算書

セコム

ALSOK

セコム・ALSOKともに営業活動で稼いだキャッシュフローの範囲内で投資活動や財務活動を行っていると言えると思います。

有価証券報告書で財務活動の内訳を調べてみると、借入金の返済や配当金の支払いも継続的に行っていることも確認することができました。

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まとめ

セコム・ALSOKともに「自由に使えない現金」が含まれて貸借対照表が大きく見えていることには注意しなければいけません。

また今後キャッシュレス化の流れにより現金輸送業務がどうなるのか(利益にどのようなインパクトを与えるのか)、さらに通常のセキュリティだけではなくサイバーセキュリティの分野をどのように進めていくのかも気になるところです。

ひろりん

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